旅する小鉢

我が家のご飯の記録と、ご飯を通して考えたこと。

梅干し作り 二年生

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暑い暑いと思っていた日々もいつのまにか過ぎ、過ごしやすい日が続いている。気づいたらもう秋分の日が近づいている。ということでこれは書き残しておかなければと思っているこの夏の梅干し作りの記録。

偉そうに書き始めたけれど、今年でまだ梅干し二年生。去年、知り合った友人に触発されて作ってみようと思ったのが初めてだった。その友人は日々の食事から家族の健康を考える素敵な子育てをしている。あるとき、味噌づくりと梅仕事が家族の季節の行事として恒例になっている、と言っていたのを聞いて、子どもをたくさん食に関わらせてきたつもりだった私はハッとした。味噌も梅干しも作ったことないぞ?

それで梅干しを作ってみることにした。ネットにはいくつも作り方がころがっていたけれど、一体どれを参考にすればいいか分からない。追熟って何?梅の傷はどのくらいなら許容範囲?容器の消毒に焼酎は必要?重石も必要?もみしそはいつから用意すればよいのか?初めてだから試しに…くらいに思っていたけれど、作るとなったら最後まで完成させたい。事細かに友人に聞きながら、なんとか完成した。そんな去年の梅干しがこれ。

 
 
 
 
 
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「時間がかかるけれど工程はとても簡単」と友人は言っていたけれど、イラチな私にはその「時間」が果てしなく感じられた。一瞬に集中して難しい作業をする料理のほうが「やった」感がある。だからお菓子づくりが好きなのかなぁ。カスタードが固まる瞬間、みたいなのを感じるのがとても好き。それに比べて梅干しは、ほとんどの日々は経過を見つめるだけ。「カビていないかな?」と不安になりながら特に何か手を加えるでもなく過ぎていく日々がやや苦痛だった。実際、去年は半分くらいカビでだめにしまい、残りもカビ処理をして結構面倒だった。もちろん、できたときはとても嬉しかった。買ったことしかないものをこの手で作ることができるのだと知れたのは嬉しい。でも、「こりゃ今年で終わりかなぁ〜」なんて思っていた。

ところが今年。梅の季節がやってくると、なんとなくもう一度挑戦してみたくなってしまった。去年いろいろと教えてくれた友人ふくめ、一緒に作ろうと集まった3人でグループを作って、オンラインでつないで一緒に下処理をしたり、その後もお互いに進捗報告をし合いながら少しずつ作った。

去年の反省から、私はカビさせないことばかり考えていた。早く梅酢をあげて、カビないように梅酢に梅が浸るようにしなきゃ、と思っていろいろとネット検索をしてたどり着いたのが保存袋で作る方法。空気を抜き抜き、ひんぱんにひっくり返して梅が常に梅酢に浸っているように気をつけた。


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そうしたら一粒もカビることなく、梅酢があがってきた。わーいわーい。

と、喜んだのも束の間。次の、もみしそを入れる、という工程で全然色づかなかった。去年、もみしそを入れた瞬間ぱぁーっと色づいたときのワクワクした気持ちが印象的だったので、今年もそうなるのかな、と思ったら、何日経っても梅が赤くならない。梅酢は赤いのに、梅は赤くならない。

違うことといえば、去年自分でもみしそを作ったのに対して今年は市販のもみしそを買ったことだった。去年カビてしまった原因のひとつが、早々に作ってしまったもみしそをベタベタと手で触りすぎたからかも?と思っていたので、今年は市販のもみしそを買ったのだった。

あとからいろいろと調べると、色づかない原因はしそのアクだそうで、市販のもみしそは色づきが悪いとかいろいろ出てきた。少し条件を変えるとこんなに結果が違うものなのか。なかなか奥が深い。こりゃ、来年もう一回挑戦しないと気が済まなくなりそうだ(笑)

8月に入ってすぐ、晴れの続く日を見計らって干した。朝干して夜梅酢に戻して、と去年は律儀にやっていたが、朝子どもの身支度などバタバタしているうちに私も仕事に入って、昼休みにようやく干し、半日しか干せなかったのでそのまま夜通し干して翌日も終日干して‥などとめちゃくちゃなスケジュールで干したので何日干したかもよく覚えていない。けれど、去年は長女(当時3歳9か月)が手伝ってくれたところを今年は次女(2歳1か月)が手伝ってくれたなあ、なんて考えながらやっていると小さい工程ひとつひとつがとても愛おしく思えてくる。

そうこうしているうちになんとかできた。そして干す工程で何度か梅酢に戻すと最終的に梅も赤くなってくれた。こんな工程の間も、梅干しグループでは皆で逐一報告をし合った。住んでいる地域も別々なので天気も違うし、各々の梅の状態も違う。オンラインで繋がりながらもリアルタイムで同時進行はできない。写真はたくさん共有し合えるけれど互いの梅を味見することはできない。そうやって生まれた不思議なオフラインの産物。

 

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家で作った梅干しは塩分がとても多い。素人の梅干しづくりなので、傷むかもしれないと思うとなかなか塩分を減らせない。4歳9か月の長女が「保育園で梅のごはんが出た」と言うので「へえ、どうだった?」と聞くと、「美味しくなかった。だって酸っぱくないんだもん」と言う。我が家の味、を感じてくれているようで嬉しい気持ちと、子どもには塩辛すぎるかなあという気持ちと。とりあえず、来年梅干し三年生に進級したいと思う。