旅する小鉢

我が家のご飯の記録と、ご飯を通して考えたこと。

2022年 お正月

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2022年1月1日(土)

気づいたらもう七草粥も終わってしまったが、お正月の記録。去年の秋に帰省したこともあって、正月は今年も帰省しないことにした。新型コロナで帰省をやめた去年、自宅で過ごす正月なんて最初で最後かも、と意気込んでいたが、思いがけず二年続けての家族での年越しになった。

去年は、それまでの正月の写真などを見ながら「母は何を作ってたっけ」「お重にどんなふうに詰めてたっけ」とやりたいことを全部洗い出して準備したが、今年は敢えて去年の写真を見ずに準備してみようと思い立った。こうやってたまに食べ物のことを書き留めていると、作ってもらってきた料理に自分なりの思い入れみたいなものをかなり混ぜ込んで記憶しているなあと気づく。お正月の料理の中で、自分にとって印象が強い料理はどれなんだろうと探ってみたい気持ちもあった。

買い物リストと雑感

■肉巻き
・牛肉/金時人参/三度豆/ごぼう
去年、肉をケチらなければ満足いく肉巻きができると分かったので今年も奮発。後から母に聞いたら母はごぼうを入れないとか。記憶が違ったみたい。

■田作り
・ごまめ
くるみを入れるか迷ったが、長女はそこまで好きでもなさそうだし、次女はまだナッツ類を与えていなかったのでやめた。

■黒豆
・黒豆
去年、ちょっといいスーパーに行って高い豆を買ったが、その後近所の安いスーパーでも同じようなものが安く売っていることを知ったので1年前の学びを生かして近所で購入。

■きんかん甘露煮
・きんかん
実家で出てきたおせちに入っていたことはないがなんだか思い立って作ることにした。年末、子どもたちも私も喉の調子がよくなかったのでそれもあって。

紅白なます
・かぶ/金時人参/昆布/柚子
大きいかぶが見つけられなかったので普通のかぶで。柚子は今年は自宅の木に実がならなかったので購入。

■海老フライとうずら卵フライ
・有頭海老/うずら
私はおせちに入っている海老の塩焼きが大好き。買ったおせちに入っているのはだいたい煮てある海老なので、そうではない塩焼きのが母や祖母の味という記憶がある。けれど食べるときに殻をむくのが面倒だし子どもにはフライのほうがいいかなと思って海老フライにした。がこれは失敗だった。海老が大きすぎて綺麗に揚がらなかったし、お重に入れて翌朝食べるので衣がふにゃふにゃになった。

■くわい煮物
・くわい
去年、あまり好きでもないし、と思って見送ったがなんとなくそわそわして作った。上記のちょっといいスーパーでLLサイズ3つ入りで598円だったのに飛び上がって、近所のスーパーに行くとLサイズ3つ入りで498円にした。いい買い物をしたような、こんなことをいちいち考えるのはバチ当たりなような。

煮しめ
・れんこん/ごぼう/こんにゃく/絹さや/干し椎茸/うずら卵/ちくわ
ただでさえいろいろ食べるものがある正月なので、日持ちがするからって大量に作って何日も食べるのはちょっとつらいのでほんとうに少しだけ作った。ということで去年入れたこいもは入れなかった。最初に材料を書き出したとき、絹さやを忘れて、あとで去年の煮しめを見て気づいて買った。子どもが食べないこともあってこういう飾りのものや薬味についつい手を抜いてしまう。正月明けに母が来て豚汁を作ってくれたが、ねぎを刻んで入れてくれて、ああ全然違うわ、って今さら感動した。

■雑煮
・ぶり/かしわ/金時人参/だいこん/三つ葉/かまぼこ/柚子/餅
夫に牡蠣を入れたいかと聞いたら要らないとのことだったのでこんな感じで。去年、どこの店にも雑煮だいこんが無くて、どうしても雑煮に雑煮だいこんを入れたかった私は義母に送ってもらったんだけど、今年はまあいいか、と思えた。その代わり、このあたりでお正月に出回る三浦大根というのを買って入れてみた。

■りんごきんとん
・さつまいも/りんご
晦日に義母から封筒が届いたので何だろうと思って開けてみたらおせち料理のレシピ集だった。去年栗の甘露煮を買ったが子どもが全く食べなかったので栗きんとんはやめようと思っていたのだけど、りんごきんとん、というのが新鮮で材料も家にあったので作ることにした。

ぼうだら、たいのこは実家でも市販のを買ってきて詰めるだけだったけれど、去年このあたりのスーパーでなかなか見つからなかったし、結局市販のものは味も濃いので今年は探さなかった。

準備いろいろ、長女の成長など

とりあえず今回自己満として書きたいことは、12月29日〜30日に家族旅行に行ってそれから帰ってきておせちとお雑煮の準備をしたけどできたよ!ということ。帰省しないことにしたのでひとつ楽しいことを、と思って家族で八ヶ岳のペンションに泊まりにいった。別に何をするでもなくそこでのんびり過ごして翌朝チェックアウトしてそのまま帰ってきただけなのだけど、それから料理し始めて大晦日の夕方にお重に詰め終えて気持ち良かった。

そんなわけで時間も限られていたし、「子どもにも何かさせなくっちゃ」と意気込んでいたわけではないのだが、長女(4歳1か月)が人参の型抜きをしたいとやってきた。

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そのあと、ねじりこんにゃくも楽しそうじゃないかと思ってこんにゃくに切れ目を入れて渡したら、こんにゃくに切れ目を入れるところからやりたいのだと。「真ん中だけすーって切るんだよ」とやって見せたが、これがけっこううまいことやる。ハイライトのところだけじゃなくて、前後の工程をやりたいというところに長女の成長を感じた。よく見たら上の写真でも人参を輪切りにするところからやっていた。

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ついでに絹さやの筋だけ取ってもらおうと思って横でやってみせる。が、この子、ひとつも見せたとおりにやらない。プチプチと引きちぎったり、突然スナップエンドウのように半分に開きだしたり。ところがこの開いた絹さやが意外に綺麗で、最後かまぼこの上に飾ることにした(冒頭の写真)。

その長女、ごまめの水分を電子レンジで飛ばしていると、「鯛を焼く匂いがする」と。「おさかなのにおい」だけでなくそんなふうに描写できるようになったかと思うとこれも嬉しかった。
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ご近所さんと一緒の年末

12月30日、自宅前の一本道を歩いていると、たまたまご近所のおばちゃんが3人くらい同時に出てきて年末のご挨拶となった。「あなた孫は来るの?」「来ない来ない」「うちもよ」「でも私たちには○○ちゃん(長女)がいるからねえ」とおばちゃんたちが話してくれてほっこりした。

ひとりのおばちゃんは買い物帰りだったようで「お餅を買ってきたの」というのでどこのお店ですかと聞いた。餅を買い忘れていたけれど美味しいお餅やさんを知らなかったので間に合えば買いに行きたいと思っていた。電車で数駅のところだけれどややこしいから後で地図を買いてポストに入れておくわ、でも今日はこれが最後のお餅だったの、と言うので、明日行くのでお願いします、と言って別れたら、しばらくして玄関のチャイムが鳴った。「主人に話したら、大晦日に小さい子を連れて寒い中買い物に行かせるなんてって叱られちゃって。なんで餅を置いてこないかって。ごめんなさいね。」と言って、のしもちを一枚くれたのでとても恐縮してしまった。そのお餅の美味しいこと美味しいこと。「丸餅はありましたか」「丸いのは鏡餅だけよ。あなたのとこは丸餅なの?」「はい」「切り餅のほうが味が染みておいしいわよ」とかなんとか話したのが妙に印象に残っていて、新鮮なお雑煮になった。

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前後してしまったけれど、大晦日におせちを詰め終えたら急に疲れが出てそのまま何もしたくなくなった。ということで夫が夜ごはんに年越し蕎麦を作ってくれた。子どもには海老天を作ったけれど、私にてんぷらのセンスがなさすぎて衣が全部剥がれ、ただ海老を油でゆがいたみたいになってしまった。


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来年はどうしようかな

冒頭の内容に戻るけれど、自分で準備するとなっておせちの内容を書き出してみて思ったことは、ただ毎年同じようにしたいんだなということ。実家では伊達巻を作らないしかまぼこの飾り切りもしないので、他のおせちでいくらそれらを見ても作ろうと意気込めない。作る内容をそらで書き出してみても、去年のリストとほとんど変わらなかった。あとは、作る過程の印象って強く残っているんだなということ。「お正月の料理の中で、自分にとって印象が強い料理はどれなんだろう」の結論は、正月にしか食べない珍しいものや縁起ものといった食べ物そのものではなく、「母が梅の型に抜いた人参を入れたお雑煮」とか「失敗してしわしわになった!と言いながら母が作っていた黒豆」とかそんな感じだった。

自分自身が子どものころの年末は、親戚があつまってみんなでおせちを作ったり、大掃除に駆り出されたり、大人が麻雀するのを見たり、わいわい賑やかな感じだった。そんな感じではないこぢんまりの静かなお正月、私ひとり記憶の中の料理を再現して楽しんでいたけれど家族がどう思ったかは分からない。子どもたちにはもっと賑やかな正月を体験させてやったほうがいいかな、とも思うし、これ以上でも以下でもない、毎年同じものを作る正月を繰り返したい、とも思う。

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