旅する小鉢

我が家のご飯の記録と、ご飯を通して考えたこと。

リングケーキ


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お菓子が大好きになったのは小さいころ母がよく作ってくれたから。といってもとっても簡単なレシピだけど。最近、孫に食べさせるといって久しぶりに母がリングケーキを作ってくれた。うまく膨らまないとかで、ちょっとずつ材料を変えたりなんかして何度も何度も作っている。


あれこれ試行錯誤している中には、ちょっとだけお菓子作りをかじった私に言わせれば理にかなっていないものもある。自分のレシピをこねくり回すよりも新しいレシピ探したらいいのになぁとか、下準備をレシピどおりにちゃんとやればいいのになぁと最初は思っていた。


でもふと、母は試行錯誤する過程そのものが楽しいんだろうなと気づいた。そして私も習いに行く前はそんなことばっかりしていたなと思い出した。習いに行ったあとは、なぜその材料なのか、なぜその工程が必要なのかわかるから、小さな作業も省かないし、美味しいとわかっているからそのレシピでしか作りたくないけれど、それまでは一人の実験を楽しんでいた。


それに、人によって求めるものが違うという当たり前のことにも気づけていなかった。母の求めていたものはシンプルで、ボウルひとつでできること、共立てであること、ハンドミキサーでできること、バターではなくサラダ油を使うこと、だ。私だったらそのレシピを作るためにバターを買いに行くが、母にとってはいつでも家にある材料でできることが重要らしい。


今日、母が不在だったので試作してみた。母は思い立ったらすぐ作りたいのだろうなあと想像しながら、卵を常温に戻すという工程を敢えてやらなかったり、粉をふるわなかったりしてみた。一応膨らんだが、母のレシピと分量が違うので味もちょっと違う。これじゃ母は満足しないだろうなあ。また明日作ろうかな。


家で過ごすことが増えたので娘とお菓子作ったこともあるけれど、正直思いどおりに作れないことにイライラしてしまうことが多かった。娘が同じようにあれこれ試行錯誤しだすようになると、「こうしたほうがうまくいくよ」と口出ししてしまうようになるのかなと思うとちょっと怖い。私も、好きなように作る実験期間を経て最終的に先生の方法に従うのが一番よいと気づいたわけで、娘にも好きなようにさせてやりたいなあと思う。美味しいものを作ることだけがゴールではないお菓子作りもあるということを覚えておきたい。